【上流&下流のリアル】インフラ運用・保守は本当に「経験にならない」?

SES

「インフラエンジニアに転職したけれど、毎日データセンターで手順書通りにボタンを押すだけ……」

「ネットで『インフラの運用保守は経験にならない』『底辺の監視オペレーターでキャリアが終わる』って見て、恐怖で焦っている……」

IT未経験から勇気を出してインフラエンジニアの世界に飛び込んだものの、配属された現場の単純作業や夜勤シフトに直面し、将来への強い不安に押しつぶされそうになっていませんか?

ネット上には「運用保守はゴミだから早くCCNAを取ってAWSに行け」といった過激な言説があふれています。しかし、本当にインフラ運用保守はキャリアにとって無駄な時間なのでしょうか?

結論からお伝えします。 指示された手順書をロボットのように実行するだけの「監視」から抜け出せないなら、それは実務経験としての資産にはなりません。

しかし、設計思想をくみ取った上で「保守」や「運用改善」を能動的に手掛けるなら、運用保守は上流工程(設計・構築)へステップアップするための最強の基礎体力であり、立派なアピール実績になります。

この記事では、29歳・未経験からインフラSESへ転職し、実際に設計・構築工程からその後の運用・保守フェーズまでを一気通貫で手掛けた私の実体験をもとに、

運用保守の本当の価値と、目の前の業務を上流での評価に化けさせるための5つの行動指針、そして希望を先延ばしにするブラックSESを脱出する具体的な戦略をリアルに解説します。

そもそも「インフラ運用・保守」とは?キャリアの分かれ目となる3つのフェーズ

「インフラ運用」とひとくくりにされがちですが、実は技術難易度や業務内容によって、大きく以下の3つのフェーズに分類されます。

自分がいまどの段階にいるか、あるいは次にどこを目指すべきかを見極めてください。

フェーズ①:『監視業務』は手順書ありきの見張り番

監視業務は、システムが正常に動作しているかを「見守り、異常があれば伝える」仕事です。
LEDランプの点灯確認や、監視ツールのアラート発生時に手順書をなぞって担当者へ電話エスカレーションする作業が中心になります。

極論、文字が読めて指示通りに動ければ誰でもできるため、ここでどれだけ経験を重ねても、エンジニアとしての設計構築スキルには繋がりにくいのが現実です。

フェーズ②:『保守業務』はトラブルシュートの実行部隊

保守業務は、実際に発生した障害の原因を探り、復旧に向けて能動的にコマンドを打つ仕事です。
ログの解析やWiresharkでのパケット切り分け、サーバー・ネットワーク機器の設定の変更、手順書自体の修正などがこれに当たります。

「なぜこの障害が起きたのか」を自分で調べて判断・実行する必要があるため、確実に技術的な基礎が身につきます。トラブルシュートの実行部隊

フェーズ③:『運用設計・構築』はシステム変化に対応する参謀

運用設計・構築は、インフラの初期設計に基づいて、運用中に発生する状況変化(ユーザー増加、サーバー増設、テレワーク導入に伴うセキュリティ要件変更など)に合わせてシステムを部分的に作り直していく仕事です。

要件定義から機器設定、さらには下流の監視マニュアルへの落とし込みまでを一気通貫で主導する、上流的な動きが要求されます。

【体験談】29歳未経験だった私が「設計から運用保守まで」を一気通貫でやって気づいたこと

ここで少し、私の実体験をお話しさせてください。

IT業界とは全く無縁の異業種から、29歳のときにインフラSES企業へ飛び込んだ私。運良く最初のプロジェクトとしてサーバの「設計・構築案件」に参画することができました。今思えばかなり挑戦的な行動でしたが、死に物狂いで食らいつきました。

しかし、プロジェクトが一息ついてシステムが本番稼働した後に、私が頼まれたのは「そのシステムの運用・保守フェーズ」への伴走でした。

当時は「せっかく設計構築を覚えたのに、実務レベルが下戻りしてしまったのではないか」「このまま手順書を眺めるだけの毎日になるのか」と強い不安と焦りを感じていました。

「作ったインフラを自ら動かす」からこそ見えた本質

ところが実際に運用保守の現場に立ってみると、これまで自分が設計で考えていたことが「いかに運用現場を考えられていなかったか」が痛いほど分かりました。

  • 設計書の記述が曖昧だったせいで、現場の手順書にバグが生まれ、リカバリーに何時間もかかってしまった
  • 保守のログ出力設定をもっとスマートにしておけば、障害調査が一瞬で終わったはずなのに
  • 運用フェーズのアラート検知の設定が雑だから、エラーではない通知ばかり届いて現場が疲弊している

設計から運用保守までを同じシステムで一気通貫で手掛けたからこそ、「ただ設計書を描いて終わりのエンジニア」や「ただ言われた手順を実行するだけのオペレーター」では決して到達できない「運用のしやすさを第一に考えた真に堅牢な設計思想」と「設計意図を正しく反映した的確な運用・保守能力」の両面が、頭の中で一本の線として繋がりました。

この経験から私は確信しました。

上流工程の視点を持って向き合うなら、どんなに単純に見える運用保守のプロジェクトであっても、そこは設計課題の宝庫であり、キャリアに役立つ最良の教科書になる。

ただの指示待ちで終わらせない!運用保守を「設計構築の強力な実績」に変える5つの行動指針

もしあなたが現在、定常的な運用保守業務で足踏みをしているように感じているなら、

今日から以下の5つのアクションを実行してみてください。

これらを履歴書や面接時に語るだけで、面接官が求める「上流でも即戦力になるインフラエンジニア」へとあなたの見せ方が激変します。

アクション①:簡単・慣れた作業でも油断せず、事前の実機確認と二重チェックを徹底する

「慣れた作業だから」と手順書を流し読みして実行するのはNGです。

仕様書の更新漏れや、本番環境の構成が資料と食い違っているケースは現場で多々あります。

作業前に必ず最新の接続構成を確認する習慣をつける慎重さこそが、重大な障害事故を防ぐ「プロのインフラエンジニア」の最大の適性です。

アクション②:手順書の不備や分かりにくい記述を見つけたら、即座に修正・更新する

現場で使われている手順書に「これ、別のコマンドの方が安全では?」「この記述だと理解に誤解が生じる」という点を見つけたら、放置せず自分で赤字を入れて更新を提案しましょう。

面倒くさがらず手順書の焼き直しを続ける主体的行動が、設計者が行う「標準化設計」の第一歩になります。

アクション③:誰でも一発でミスなく対応できる「極限までわかりやすい手順書」を作成する

「分かっている人前提」の実務メモを取り出し、知識の浅いメンバーや新人が初見で一切迷わずに作業を行える「完璧な手順書」へブラッシュアップしましょう。

「情報の抽象化とマニュアル化」は、設計書・構成定義書を書く際の必須のポテンシャルです。

アクション④:常駐先の構成図や構成定義書を徹底的に閲覧・読解する

監視画面を見つめているとき、ただアラートを待つのではなく、常駐先の構成図やサーバーの冗長構成、ロードバランサーの振り分けロジックを読み込みましょう。

「なぜこのような構成になっているのか?」という設計思想を考察して脳内ノートに整理する。

これがのちに設計構築に移ったときの揺るぎない基礎スキルになります。

アクション⑤:シェルスクリプトなどを用いた「業務効率化・自動化」に挑戦する

毎日のログイン作業やサーバーの死活監視時のログ抽出など、手作業で行っている面倒な処理があれば、BashやPythonを勉強して簡単な構成で自動化スクリプトを作成してみましょう。

「現場の定常業務を手作業からコードでの自動化(IaC/自動化)に変え、工数を削減した」という実績は、転職面接でもこれ以上ないほどの最上級の高い評価を受けます。

「もうちょっと待って」の罠。自社の営業に人生を買い叩かれない防衛策

しかし、あなたがどれだけ現場で主体的に動き、上流で活きるスキルを磨いていたとしても、「自社の環境」そのものが終わっているなら、いつまでも這い上がることはできません。

なぜSESの営業はあなたをインフラ運用保守に留め続けたいのか?

SES企業にとって、運用保守の現場にエンジニアをアサインし続けることは、以下のような多大なメリットがあります。

  • 毎日同じ業務なのでエンジニアがやめにくい
  • 未経験者でもマニュアルのおかげで事故を起こされにくいので営業が管理しなくていい
  • 新規の設計構築案件を獲得するには、営業自身に高度なインフラ知識や取引先開拓力が必要だが、この努力をしなくて済む

つまり、あなたのキャリアアップよりも「今の現場で安定してマージンを受け取る」ことを最優先にする営業が少なからず存在します。

営業の「次で考えます」は本当か?会社のサポート体制を見極める3つのサイン

あなたが「設計構築にシフトしたい」と懇願し、営業担当者から以下のような返答が返ってきたら、その言葉を信じるのをやめ、脱出を考えましょう。

  1. 「次のアサイン時のタイミングで考えましょう」と期限やステップを明示せず引き延ばす
  2. 「まずはLinuC取得」と言うが、取得しても「今はその案件がない」と約束を反故にする
  3. 営業がサーバやネットワーク構築等の技術概要を理解しておらず、会話が噛み合わない

技術への理解がない営業や、自社から上流案件のルートを持たない会社の下にいる限り、努力の方向性を間違えているといえます。

その場合は、速やかに脱出プランを検討してください。

まとめ:運用保守は無駄じゃない。ただ、戦略のない「放置」だけは今すぐ脱出しよう

インフラエンジニアの運用保守での仕事は、ネットでのネガティブな発言とは裏腹に、システムを安全に支えるための「一歩も譲れない生命線」です。

そして同時に上流エンジニアになった際に「現場での実運用を見通した、破綻しない設計ができる強いインフラエンジニア」になるための、必要不可欠な基礎工事の期間でもあります。

  1. 上流の設計視点から目の前の手順書チェックや業務効率化に主導的に挑み、強力な実績を作る
  2. 営業がアサインプランを提示せず、放置されていると判断したら、早めに環境を作る努力を行う

「ただ指示を待ってため息をつくだけ」の毎日は、今日で終わりにしましょう。

あなたが上流から下流まで一貫した泥臭い経験を自分の技術財産へと変え、今日踏み出したその小さな一歩こそが、

将来的に高度なクラウドインフラや大規模構成を主導する、インフラエンジニアの自分へと繋がっています!

転職のプロに相談したい場合は下記の記事におススメのエージェントを載せていますので是非!

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